お釈迦さまの教え
令和4年4月8日
先日の毎日新聞の川柳に「生れては死に生まれては死に生まれ」というのがありました。作者の<脱・原発>さん、どうしてこの句を思いつかれたかですが、言っているところは輪廻転生です。人生は一回限りではない。句に言う通り生まれては死に生まれては死に生死を繰り返すというのが輪廻転生です。
しかし、お釈迦さまは輪廻転生については何もおっしゃっていません。お釈迦さまは霊魂と身体の同異とか死後の生存などについては沈黙を守ってお答えにならなかったというのです。ただ輪廻転生という考えはインドには仏教以前からあったと言いますし、仏教も人は解脱しない限り三界六道を輪廻しなければならないと考えているのです。
この人生を一回限りと考えるか何度も繰り返すと考えるかは人それぞれですが、どちらを取るかで人生観に違いが出ることはもちろんです。一回限りと思えば「旅の恥は掻き捨て」とばかり悪事もいとわない人もいるかも知れません。反対にこの人生に連続する生があると思えば悪いことはせずよいことを心がけようと思うでありましょう。
諸悪莫作護是教 悪事はせぬと心に誓い
衆善奉行持是教 ひたすら善事を心掛け
毎天祈自浄其意 清い心を祈りつつ
一生貫徹諸仏教 諸仏の教えを貫かん
上は本日花祭りの法語です。皆さま先刻ご承知、お釈迦さまを含めて七人の仏さまが共通して言われたのが「七仏通戒偈」です。言われていることは単純明快。悪いことはしない、よいことに努める、心を清くする。ただそれだけ。でも「言うは易く行うは難し」なのがこの三つではないでしょうか。
私はこの七仏通戒偈は生きている時だけでなく死後のための戒めではないかと思います。輪廻転生というのは来世があるということです。となれば来世の悩み苦しみを少なくするためには今生を正しく生きて善根を積むしかありません。お釈迦さまは人間が輪廻転生することを知っておられたに違いないのです。
悪を造りながら悪に非ずと思い、
悪の報あるべからずと邪思惟するに依りて
悪の報を感得せざるには非ず
<修証義総序>
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