「四有」考 №737

「四有」考

令和5年7月8日

 先達てある方の四十九日法要の折、式の初めにその法要の意味をお話しました。皆さまもすでに何回か四十九日法要に参加されたことがあると思いますが、この法要は人間の生存状態を四つに分けた時の一つであることはご存知でない方もあるかも知れません。今日はそのことについてお話ししたいと思います。

 四十九日を皆さんは「中陰」という言葉で聴くことが多いと思いますが、上に申し上げましたようにこの中陰が四つのうちの一つで中有(ちゅうう)とも言います。他の三つは(しょう)()本有(ほんう)()()です。生有とは受胎の瞬間、本有とは誕生から死までの一生、死有とは死ぬ瞬間を言い、さらに死有の後生まれ変わるまでの中有を加えて四有となります。

 この四有のうち生有と死有は瞬間ですから生有は本有とくっついており、死有は中有とくっついていることになります。ということは人間は生有によって生まれる一生の間と死有によって生まれる生まれ変わりまでの間がワンサイクルになりますね。本有は長い人もいれば短い人もありますが、中有は49日と決められています。

 中有の期間が何故49日とされたのかは知りませんが仏教では人は死後49日で生まれ変わるとされているのです。でも本当に人は死後49日で生まれ変わるのでしょうか。私はそれはあり得ないのではないかと思います。それが本当だったらこの日本も人口減少など起こらないと思うのです。

 ま、それはさておき、私はこの四有が教えることは人間は輪廻する存在であるということではないかと思います。六道輪廻の考えもその一つと言えるのではないでしょうか。人は死によって肉体を失った後も霊魂として存在し続け、その霊魂はいつかまた肉体を得てこの人間世界に生まれ変わるということを教えていると思うのです。



 実は私は障害児教育に携わっている頃にドイツの人智学者ルドルフ・シュタイナーを知って輪廻転生を信じるようになりました。障害児を理解する上でも輪廻転生という考えは納得ができたのです。以来私は人は輪廻転生する存在であることを信じるようになりました。皆さんはどうお考えでしょうか。


汝も私も無始の時から、

生まれ変わり死にかわって転変無常である。

         
  空海<三教指帰>


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