続「あんたはえらい!」 №745

続「あんたはえらい!」

 令和5年9月9日

養護学校に勤務していた時に同僚だったT先生がいます。私より二つ三つお若い女性です。T先生もすでに仕事は辞められましたが、退職後もかつての教え子さんたちの相談に乗ったり民生委員をしたり憲法9条を守る活動をしたりと忙しい日を過ごされていて話を伺う度に頭の下がる思いをしています。

 いつでしたか、そのT先生を評して「あんたはえらい!」と申し上げたことがあったと思いますが、今日はその続きのお話です。実は5月に頂いた手紙にT先生がお住まいの地域の老人会長を引き受けたとあったのです。老人会のもめごとに関わっているうちに受け手のない会長を引き受ける羽目になったということでした。

 その話を聴いた時、私はよくもまあお引き受けになったものだと思いました。苦労することが分かっている老人会長を進んで引き受ける人なんてまずいないでしょう。苦労を承知で引き受けられたことにT先生だからこそ引き受けられたのだろうと敬服し、頭の下がる思いを禁じ得ませんでした。

 今日の話はその後のことです。8月半ば、4年ぶりに地域の夏祭りが行われることになってT先生の老人会(あかね会)に盆踊りの依頼があったのだそうです。えらいなと思ったのはその時のT先生の対応です。とっさに3年前に元気よく踊っていた方を思い出してその方に援助を“直訴”されたのだそうです。

 T先生の熱意にほだされたのでしょう。その方は快く承諾して友だちを連れて練習日に来てくれて集まった8人が定番と言われる5曲をマスター。盆踊りは老若男女で盛り上がって久しぶりに楽しい夏まつりを行うことができたのだそうです。T先生の熱意がなければできなかったことでありましょう。「あんたはえらい!」です。


 前号のこのたよりで人知れずの働きほど尊いものはないと申し上げました。この度のT先生のように苦労を苦労とも思わず、というのははたやすくできることではありません。盆踊り最後の曲が「チャンチキおけさ」だったそうですが、恐らく皆さん、「知らぬ同士が小皿叩いて」踊ってくれたことでありましょう。


身と心おけさに託して盆踊り


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