般若心経の教え №746

 般若心経の教え

令和5年9月17日

ご存知、般若心経はその冒頭で観世音菩薩が深般若を行じていた時に五蘊皆空を悟って一切の苦厄から離れることができたとありますね。そして釈迦十大弟子の一人、智慧第一と言われた舎利子(シャーリプトラ)に「色即是空・空即是色」を教えるという構成になっています。

 般若心経の眼目はこの「色即是空・空即是色」であることはもちろんでありましょうが、難しいのは「空」の解釈ではないかと思います。。ものの本を読むと、形あるものは実体がないなどと書かれていますが、「目の前にあるものには実体がない」という説明に皆さますんなり納得できるでしょうか。

 以前申し上げたことがありますが、私はこの空を考えていて、空即是色をAとし、諸行(色)即無常をBとすれば、三段論法で「空即無常」と言えると思ったのです。そして、空=無常とすると、納得いく説明がつくように思ったのです。無常とは一瞬も留まらず変化し続けるということなら、そこには実体がないとも思えてきます。

 無常は止まったら無常ではなくなってしまいます。無始無終、永遠の変化を続けるという存在には生滅も垢浄も増減もありません。縁に従って変化をしていくというだけです。般若心経にいう色を私たち人間と思えば私たちの生死は変化の一過程に過ぎません。感じること思うこと考えること行うことも変化でしかありません。

 しかし、今日私が思ったことは「だからどうなんだ」なんです。この私たち人間を含めた一切のものは無常の存在だとしても「じゃ、それでどうなんだ」になりませんか。その答えが後半にある「菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無  」(菩薩は般若波羅蜜多に依るがゆえに心にわだかまりがない)だと思ったのです。


般若心経が真に私たちに教えたいことは上のこと。六波羅蜜に代表される修行を実践しなさいということではないでしょうか。お釈迦さまは今わの際にも自分が死んだ後には戒律を守って生きなさいと言われました。心経は私たちに戒を守って生きることの大切さを教えているのではないでしょうか。


我が滅後に於いて当に波羅提木叉を尊重し珍敬すべし。


此れは是汝等が大師なり <仏垂般涅槃略説教誡経>

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