四住期考
令和5年11月11日
先日、中学時代の友人が来てくれた折、年齢のことから「四住期」の話になりました。互いに八十路になった今、これからどう生きていくかが切実な問題であることは言うまでもありません。八十路と言えば人生最終章であることは無論です。残された時間を如何に過ごすかなのです。
四住期については以前ちょっとだけ申し上げたことがあると思います。古代インド法典では3上流階級であるバラモン、クシャトリア、バイシャはその生涯を学生(がくしょう)期、家長期、林住期、遊行期(遍歴期)の四つに分け、それぞれの時期になすべきことを決めておりました。
学生期はベーダ聖典を読誦し祭式の施行法を学ぶなど宗教教育を受ける時期で5~12歳でこの時期に入り12年間修行することが決められていました。次の家長期では結婚し男児を設けることが義務づけられていました。そして3番目の林住期においては息子に家を託して森林に隠遁する、となっています。
問題は最後の遊行期です。この遊行期では諸国を遍歴し、托鉢のみによって生活するとなっていますが、年齢的には幾つぐらいからがこの遊行期になっていたのでしょうか。学生期は12+12とすれば24歳までになります。家長期はそれ以後家庭を持ち、仕事を息子に任せるまでですから60~70歳でしょうか。
とすると林住期はそれ以後の10~15年間となり遊行期の始まりは70歳前後になるでしょうか。この時期になったら托鉢で命を支えながら諸国遍歴をすべきだというのがこの四住期なのです。してみると私はすでにこの遊行期になっていますが、遊行期どころか林住期さえ出来ていないことに愕然とせざるを得ません。
ただ、インドでも四住期は理想的なあり方であり現実には必ずしも守られてはいなかったようです。それを知って私はいま自分はどうするかという思いに駆られています。僅かでも実行に移せることがあるか。気持ちだけでも林住期遊行期に近づけることができるか。遊行期を実践し続けた山頭火はすごいと思います。
分け入っても分け入っても青い山
種田山頭火
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