夢と誇り №210

夢と誇り №210 
平成25年 7月17日 

    夢と誇り 

 「カバヤキャラメル」、「前田のクラッカー」と聞けば、皆さんの中に「おお、覚えている」という方も多いと思います。私にとってはそのどちらも大変懐かしく、「カバヤキャラメル」と言えば「カバヤ文庫」が、「前田のクラッカー」と言えば、藤田まことさんの「てなもんや三度笠」が思い出されます。もう半世紀以上も前のことですね。
   
 ところが、です。つい最近、私はそのカバヤ食品、前田製菓がなお健在であることを知りました。カバヤ食品のお菓子、前田製菓のクラッカーを発見したのです。カバヤ食品のお菓子は新発売のものでしたが、クラッカーは当時そのまま「あたり前田のクラッカー」でした。実に旧知に出会ったような驚きと感激を覚えました。
 
 全く失礼ながら、私はその二つの会社がまだ存続していることを知らなかったのです。しかし、調べましたら、創業は前田製菓が大正7年、カバヤ食品が昭和21年ですから、既に95年、67年を経過しています。競争と浮沈の激しい業界、時代にあって両社が今日まで生き続けて来たのは大変なこと。その秘密はどこにあったのでしょうか。
 
 調べて分かりました。前田製菓は創業以来、一貫して「品質本位」「無声呼人」を社是にしてきたと言います。無声呼人とは「声を発せずとも徳のある人であれば自然と人が集まる」という意味だそうです。「桃李もの言わざれども…」という成句がありますが、まさにそれです。ここには人格の陶冶に等しい社の気概と誇りがあると思います。
 
 カバヤ食品も同じでした。カバヤ文庫がその象徴であるように、同社は「お菓子を通じて子どもたちに夢と文化を、そして健康と味のメルヘンを提供する」ことを掲げてきたと言います。カバヤ文庫のお世話になった一人として、この精神はなるほどと納得します。カバヤ文庫は子どもたちの夢と希望にどれだけ寄与したことでしょうか。
 
 二つのお菓子会社の企業精神に思いました。いま私たちは未来を担う子どもたちに夢と希望、そして誇りを与えられているだろうかと。残念ながらいまの日本はその逆ではないでしょうか。私たちが心しなければいけないことは、日本をこれ以上悪くしないこと。それにはどうしたらよいのでしょう。





   ・企業には「夢」がなくてはならない。
   ・君は今、何をしているの?
              ~安藤百福~





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