続・ネット亡国論 №229

続・ネット亡国論 №229
平成25年11月 1日


続・ネット亡国論


 前号でいまネットの危機が恐るべき状態になっていることを申し上げましたが、この問題が中学生で特に深刻であることを身近に知ることになりました。友人Tさんの娘さんは中学2年生なのですが、Tさんがおっしゃるには、いまの中学生は下校後もネットで友だちとつながっていなければならない状態だというのです。
 
 思わず、えーっと言いたくなるようなことですが、中学生は下校後も送られてくる友だちからのメールに常に注意していて、すぐにそれに返事をしなければならず、もしそうしなければ仲間外れにされかねないばかりか、いつ何時、いじめの標的にされてとんでもない誹謗中傷を受けるか知れないというのです。
 
 仲間外れにされてしまう心配と不安でネットから離れられない状況は“メール地獄”と言うしかありません。Tさんによれば、それでもなお同性の女の子からのねたみメールがあったりするというのです。Tさんが案じるように娘さんの勉強や部活での頑張りが足りなくなっているのがネットでの友だち関係に疲れ果ててだとすればゆゆしきことではありませんか。
 
 さらにTさんのもう一つの心配は、ネットで異性に簡単に好きと言ったり遊ぶ約束ができてしまったりすることだと言います。前号で紹介した柳田邦男さんの報告にもありましたが、面識のない人とメールなどをしたことのある中学生は、ケータイ所有者で40.2%、スマホ所有者では58.1%に上ると言います。ここには機器を操作するだけという半面の恐ろしさがあります。
 
 そういえば、先日三鷹で起きたストーカーによる女子高生刺殺事件もそもそもはフェイスブックというネットであったと言います。中学生が興味半分ですることが、その後どんな事件になってしまうかも知れません。ネットの負の側面を悪用する卑怯な人間、不埒な人間は後を絶ちません。それがネットの怖さなのです。
 
 コミュニケーション能力を奪い、感性を鈍らせ、果ては人格の円満な成長を妨げる一方で犯罪や事件を引き起こしているネットの危機を無視、放置すれば、人間の社会は完全に理性もモラルもない地獄の世界になってしまうでありましょう。道具を使うのが人間、人間は道具に使われてはならないのです。
  
 

     没落してゆく民族がまず最初に       
      失うものは節度である。
              シュティフター







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