自立の子育て №281

自立の子育て №281
平成26年 8月25日

自立の子育て                             
 
 前号で私たちは今平和のことも生活のことも根底から考え直すべき時を迎えているのではないかと申し上げました。しかし、それでは具体的に何をしたらよいかとなると、さて、となるのではないかと思います。そう考えていたら、たまたま目の前にあった毎日新聞声欄の四月の切り抜き(26/4/26付)にヒントがありました。
 
 上記同日の声欄に三人の方の投書が載っていますが、その三つともが私たちの生き方を考えさせる内容なのです。で、ご参考までにこれから三回、それを紹介したいと思います。
 
 第一番目は標題のとおり、親は子どもに自立を意識させるべきだ、という74歳の男性の投書です。長年就職コーディネーターをしてきたというその方から見ると「親が子どもの就職説明会まで問い合わせをしてくるのは何か間違っているように思える。親は子にもっと自立を意識させるべきではないか」と言われるのです。
 
 これは私も同感です。実を申せば修行の世界でも同じことが言えるのです。私たち僧侶は僧侶になる過程に一定期間の修行が義務づけられています。もちろん修行は一生ですが、それに至る最低限の期間が修行道場なのです。しかし近年、その修行道場に師匠である親が口出しをしてくることがあるというのです。これでは修行にも自立にもなりません。
 
 子育ての要諦は「待つ」ことだと思います。投書の方も親のなすべきことは「子が自主性、主体性を身につけるまで辛抱強く見守る」ことだと言われていますが、この「辛抱強く見守る」ことがなければ子の自主性や主体性は形成されません。親が「待つ」ことをしなければ、子が努力工夫する機会を奪ってしまうことになります。
 
 自分の子育てを振り返って忸怩たる思いですが、いま私たちに大切なことは子どもを正しく育てること、つまりは自立を促す育て方をするということだと思います。自立的な子どもが育たなければ日本の将来はありません。結局のところ、国は人です。国民のあり方、国民の質が、国そのものなのです。
 今子育て中のお父さんお母さん、お孫さんを見ている祖父母の皆さん、どうぞ子どものために子どもの自立を援助して下さい。

             人は石垣 人は城
                  <武田節>




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