追悼 永六輔さん №389

平成28年8月1日

追悼 永六輔さん


 先月7日、永六輔さんが亡くなりました。83歳とのことですが、昨年暮れの野坂昭如さんのご逝去同様、ただ残念な思いを禁じ得ません。申し上げるまでもなく永さんは多方面にわたって幅広い活動をされたマルチタレントでありました。ここ十年はがんとパーキンソン病を抱えながらもその活動は止むことがなかったと言います。

 その中でも私は永さんが平和運動に尽力して下さったことを忘れることはできません。それは死の直前まで平和を訴えておられた野坂さんと同じです。野坂さんも永さんも戦地には行っておりませんが、戦中派として戦争の悲惨と苦しみを肌で味わった世代です。それだけに戦前回帰する日本の現状には強い危惧を覚えられたのでありましょう。

 加藤登紀子さんが追悼の言葉の中で、あの「上を向いて歩こう」は「本当は安保挫折の涙なんだよ」とご本人から聞いたとおっしゃっていますが、60年安保にそれほどの挫折感を抱いた永さんにとって昨年の安保法の強行成立はいかばかりであったかと改めて思いを新たにせざるを得ません。恐らくは昨年も挫折の悔しさを痛感されたのではないでしょうか。

 歌の話のついでのようですが、永さんが作詞された歌の中で私が特に好きなのは「見上げてごらん夜の星を」です。/見上げてごらん/夜の星を/小さな星の/小さな光が/ささやかな幸せを/うたってる/見上げてごらん/夜の星を/ボクらのように/名もない星が/ささやかな幸せを/祈ってる/手をつなごう/ボクと/おいかけよう/夢を/二人なら/苦しくなんか/ないさ/・・・・

 私はこの歌は、いま世界で平和を願っているすべての人たちの歌だと思えてなりません。世界はまだ平和ではありません。何年も戦争をしている国があり、また他方には罪のない人を殺害するテロが絶えません。その中で多くの人、そしていとけない子供たちが悲しい死を遂げています。平和でさえあれば死なずにすむ命なのです。
 
 私たちはもう一度この「見上げてごらん夜の星を」を、平和を願う歌として歌わなければなりません。世界中の人たちが平和のために手をつなぎ平和のために祈らなければなりません。平和は与えられるものではありません。一人ひとりが自らのこととして努力し なければなりません。永さんはきっとそれを望んでおられます。

 

手をつなごう ボクと 
     おいかけよう 夢を

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