また「ゴミ屋敷」考 №480

また「ゴミ屋敷」考
平成30年4月3日


 ちょうど去年の今頃、私が圧迫骨折で散々だった頃、目の前の机があっという間に雑多なもので覆われて行くのを見てゴミ屋敷は簡単になってしまうことを実感しました。ところが、何とまた今年もちょっとグズグズした時に去年と同じようなゴミ屋敷を体験する羽目になりました。今年また机に物が溢れることがあったのです。

 皆さん普段ほとんど意識していないと思いますが、部屋をきれいにしておくこと、つまりは部屋がゴミ屋敷にならないために毎日のように不用品を捨てたり掃除機をかけたり拭いたり磨いたりしていますよね。この行為、片付ける捨てるという毎日の行為こそが部屋をきれいに保ち、ゴミ屋敷になることを防いでいるのですね。

 この毎日のように繰り返される取り入れたり捨てたりすること、実はこれ私たちの体が一時の休みもなくしていることなんです。私たちの体はそれこそ一瞬も滞ることなく摂取した物質の分解と合成そして排出を繰り返しています。それがなければ体はゴミ屋敷同然になって活動できる存在ではなくなってしまうのです。

 この体内の働きを「物質代謝」と言います。新陳代謝、単に代謝とも言いますが、この物質代謝とは上に申し上げましたように、食べ物など外界から取り入れた物質を自分に必要な物質(エネルギー)につくりかえ、その老廃物を体外に排出するという一連の働きを言います。私たちはこの働きによって生きているのです。

 ということはどういうことですか。私たちは昨日の自分と今日の自分を意識することはまずありませんね。昨日の自分も今日の自分も何ら変わりないと思っています。確かに見た目変化はありませんからそれも当然でありましょう。しかし、実は昨日の自分と今日の自分は同じではないのです。思わず、えっ!ではありませんか。

 私たちの体は昨日も今日も見た目には変わりません。しかし、その構成成分は絶えず壊され排出され新しい物質が補充されています。これを生物学者の福岡伸一さんは「動的平衡」と言われていますね。私たちの体は一瞬も同じ状態に留まってはいないのです。この続きは次号ということで乞うご期待。
 

  月やあらぬ春や昔の春ならぬ
   我が身ひとつはもとのに身にして
             ~在原業平~


0 件のコメント:

コメントを投稿