また「いてふまんだら」 №512


また「いてふまんだら」
平成30年11月17日

 いつでしたか境内のイチョウが黄葉していくさまを見てそれがマンダラそのものだと申し上げたことがありました。今年もまたそのイチョウがまだらに黄葉していくのを見ながら同じような思いが致しました。一本のイチョウの黄葉が全世界の私たち人間、いや全宇宙に存在するすべてのものを表しているように思えたのです。

 全世界を表す「(じん)十方界(じっぽうかい)」という言葉があります。簡単に言えば東西南北の四方をさらに二分しての八方に上下を加えれば十方。これで左右上下あらゆる方向を捉えることが出来ますね。まだら黄葉のイチョウの姿はまさにその尽十方界を象徴していると言えます。黄葉の一片一片が全世界の私たち一人ひとり。それが一つの命の根に繋がっているのです。

 マンダラとはそのことです。私たちは大いなる何者かに生かされてそれぞれがそれぞれの修行に励むというのが私たちの人生です。それはひとり人間に限りません。イヌもネコもスズメもカラスもそしてイチョウもサクラもみな同じように修行を続けているのです。イチョウが春若葉するのも秋黄葉するのも修行なのです。

       公孫樹黄葉毎秋    いてふは秋にもみぢして
       百年不変散美舟    百年変わらず葉を散らす
       衆生万物復同様    我等衆生も同じこと   
       修行永遠歩青丘    修行は一生限りなし

 私たち一人ひとりは年齢も性別も住んでいるところも仕事も違います。それぞれが自分のなすべきことをして毎日を送っています。でもどこで何をしていようと、たとえ病のために入院していようと生きている限りは生きることが修行なのです。怒って泣く。楽しくて大笑いする。これが私たちの修行なのです。

 こう考えると、この地球上に存在するものはすべて修行しているのだと捉えることが出来ますね。ひょっとしたら生き物のみならず土や石ころに至るまでがそうなのかも知れません。となると、またチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねぇよ」言われないように気を付けなくてはなりませんね。ご用心ご用心。



秋くれば 紅葉(もみじ)黄葉(もみじ)の 木々たちの
  年毎なせる 修行(つとめ)我もぞ



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