よい話二つ №557

よい話二つ
令和元年10月8日

 毎月決まってお詣り下さるUさんからとてもよい話を伺いました。Uさんの生活体験談はいつも面白く感心させられることが多いのですが、今回の話はよい話というだけでなく私たちも見習うべきことがあると思いましたのでご披露させて頂くことにしました。普段の心がけがどんなに大切かと思われるのです。

 その一はUさんのお母さんが亡くなった時の話です。Uさんのお母さんは今年一月に亡くなられたそうですがその当日朝、入所していた施設から連絡を受けてお母さんの部屋に着くなりUさんは思わずお母さんを抱きかかえるようにして耳元で「お母さん有難う」と叫んだというのです。するとお母さんは大きな息を二つして亡くなったというのです。

 この話を聞いて私はお母さんがUさんの感謝の言葉を聞いて喜びのうちに亡くなられたと思いました。人の末期、喜びと満足で旅立つことができたらそれこそが大往生でありましょう。Uさんがどうして今わのお母さんにその行動ができたのか。それはUさんが日頃お母さんに感謝の思いを持っていたということです。とっさの行動には日頃の思いが如何に大切かでありましょう。

 もう一つの話はUさんの娘さんの話です。ある日、娘さんが怠けてばかりで成績もよくない高校生の息子に腹を立てて「もうお弁当は作らない。お昼代に500円渡すことにした」と電話してきたのだそうです。Uさん、それを聞くなり「どんなに成績が悪くても怠惰でもお弁当はちゃんと作ってやらなければだめ。500円で親子のつながりができると思う?」と諭したのだそうです。

 娘さんも電話してくる位ですから迷ってもいたのでしょう。Uさんの言葉に翻意したそうですがこの話は親子という縁を考える上で意味深いことと思います。人間社会の類型に共同社会、利益社会という考えがありますが共同社会の典型とも言うべき家族はまさに運命共同体とも言える緊密な関係を持っています。

 その関係を「強連結」と言いますが、それは例えれば子どもがどんなに反社会的な行為をしようとも親はその子どもの側に立って子どもを擁護することだと言います。その時そのことができるか私は自信がありませんが、Uさんの娘さんへの諭しは家族が「強連結」の関係だということを改めて考えさせてくれました。
 

「子は三界の(くび)(かせ)
も子どもへの愛情のゆえんだね~。
 

 

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