すごい!タツナミソウ №658

すごい!タツナミソウ

令和3年12月8日

 このたより№642718日)の「雑草考」で一輪挿しで楽しんだ後のタツナミソウを何気なしに鉢に差して置いたらそれが根付いてしまったという話をしましたね。むろん私は鉢に差してもまさかそれが根付くとは思ってもいませんでした。雑草考を書きましたのはそのまさかが起きたことへの驚きからでした。

 ところが、です。そのまさかに続きがありました。先月11月下旬のことです。また何気なくタツナミソウの鉢を見ましたらそのタツナミソウが花を咲かせているのです。思わず「えっ、どうして」でした。タツナミソウは春に咲く野草です。寒さが募ってくるこの時期に花を咲かせるなんてあるだろうかと思いました。

 で、元々そのタツナミソウが咲いていた場所を確かめました。そうしたら一本だけ小さなタツナミソウが咲いていました。でも、そのタツナミソウは数日後にはもう見えませんでした。タツナミソウは多年草です。寒くなれば地上部は枯れてなくなり翌年春になってまた芽を出すのですから姿が見えなくなって当然でありましょう。

 でも、鉢に咲いたタツナミソウは12月になってもまだ咲いています。一つには鉢の中ということが好条件になっているのかも知れません。にしてもです。時季外れに花を咲かせ続けているというのは尋常ではありません。私はそこに「雑草考」で野草の強さしぶとさを改めて見る思いがしました。「すごい!」としか言いようがありません。

 それは植物が持つ生命力でありましょう。皆さまも「大賀ハス」はご存知でありましょう。ハスの研究者大賀一郎博士が1951(昭和26)年に千葉市検見川の遺跡から発掘した2000年前のハスの実の発芽・開花に成功し、大賀ハスとして世に知られるようになりましたが、これこそ植物の生命力の強さを象徴するものでありましょう。

 古代ハスとまでは行かずとも、今回私がタツナミソウに改めて学んだことは植物の生命力でした。一本の草と雖もその持てる力いっぱいに生きているということでした。植物に限りません。私たち一人ひとりが生命力を持った存在です。命分(みょうぶん)という言葉通りそれぞれ頂いた命を生きるのが人生でありましょう。


置かれた場所で咲きなさい。

        渡辺和子


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