「親ガチャ」 №670

 「親ガチャ」

令和4年3月3日

 前号№669(赤ちゃんって?)を考えながら思い出した言葉がありました。それが表題の「親ガチャ」です。皆さんはこの言葉をご存知でしょうか。私はつい最近まで知りませんでした。でもこの言葉は昨年の流行語大賞にノミネートされたのだそうです。流行語に関心がないとは言え、改めて若者言葉に遠い身を感じました。

 いま若者言葉と申し上げましたが、この言葉は若者の発想らしく、その意味は自販機のガチャガチャで出てくるおもちゃのように子どもは親を選べない、だそうです。最近、生まれた環境や親で自分の人生が決まってしまうという考えに共鳴する若者が多いと言いますが、流行語大賞にノミネートされたということがそれを示していましょう。

 しかし、結論的に申し上げますと私はこの「親ガチャ」の考えには全く反対です。というより、子どもは「親を選べない」のではなく「親を選んでくる」というのが真実だと思います。これはルドルフ・シュタイナーという人智学者が言っていることですが、子どもたちは生まれてくる時に親を選んでくるというのです。

シュタイナーはこう言っています。「死者たちはそれまで体験してきたことから新しい地上生活の霊的原像を作り上げます。死者たちは自分に身近な成分に惹かれますので、遺伝的な特徴とこの原像との間に親和力が見出せるような両親に惹きつけられるのです。そのようにして死者たちはふたたびこの地上で肉体を担った存在として生きるのです」と。

つまり、私たちは誕生に当って自分の人生の目的にかなった親を選んで生まれてきているのです。親ガチャなんてとんでもありません。たとえ家が貧しくしたいことも満足にできない状態であってもそれはその苦労を自らが望んで生まれてきたということです。その試練の人生を自らが設定してきたということなのです。


 前号「赤ちゃんって?」で考えた親のしていること(仕事)を継ぐというのはその意味なのです。親がしている仕事を自分の人生の目的とする原像があって「継ぐ」ということになるのでありましょう。若い人たちに心から申し上げたいと思います。あなたのいまはあなた自身が選んできたのです。どうぞ頑張って下さい。



置かれた場所で咲きなさい   

         渡辺和子


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