チョイス
令和5年2月17日
病気になった時、どんな治療を選ぶか。そのチョイスをEテレでやっていますね。たとえその病が生死に関わらなくてもよい治療法が得られるに越したことはありません。苦痛少なく効果が著しくかつ治療代が少なくてすめば有難いことはもちろんです。人誰しもよいチョイスをしたいと思うのは当然でありましょう。
しかし、今日お話しするチョイスは治療法のチョイスではありません。治療をするかしないか二つに一つ、というチョイスです。実は昨秋、仕事時代の同僚であった女性Iさんが亡くなりました。私より二つか三つ若かったと思います。Iさんは発見されたがんが4期であることを知ると「自然治癒力に期待する」と言って治療しないことを選ばれたのです。
いくら末期とは言え治療すれば何らかの効果はあるでしょうし回復だって可能かも知れません。しかし、Iさんは治療しないことを選ばれました。そこに至るまでどんなに悩まれたことでしょう。それを思うと、私はIさんの勇気ある決断に敬服するしかなく自然治癒力の増強を祈ってのお守りを差し上げたのでした。
Iさんには治療しないことに一つの思いがありました。それは子どもたちへの読み聞かせを最後までしたいということです。Iさんは多年続けてきた読み聞かせが自分と子どもたちとのかけがえのない絆になっていることを大きな喜びにされていました。それだけに治療のためにその活動ができなくなることが苦痛であったのだと思います。
実は私には6年前にも同じように末期がんの治療をしないことを選んで亡くなった友人Tさんがいます。そのTさんも大好きなフォークダンスを最後まで続けたいという強い思いがありました。今回のIさん、そしてTさんの生き方を思うと、IさんもTさんも自分の生き方を納得し自分がしたいことを全うされたのだと思います。
いま長寿の時代であればあるほど私たちは如何に生きるか如何に死ぬかという切実な問題に直面させられていると思います。緩和ケア医・奥野滋子さんの私終いの極意に「人との縁を大切にする」「自分の生き方を肯定する」「今を大事にする」「捉われない」という4つがありましたね。改めて私終いを考えさせられました。
Iさん亡くなる二日前にお見舞いに行った
Tさんとの会話。
Iさん「Tさんの手温かい!」
Tさん「そうよ、ずっと走って来たのよ」
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