人生は砂漠の旅 №715

 人生は砂漠の旅

令和5年2月3日

もう50年も前のことです。バーミアンの石窟大仏を見たくてアフガニスタンを訪れたことがありました。アフガニスタンは砂漠ではありませんが、面積で言えば日本の1.7倍もあるその国土の多くは乾燥した不毛の土地と言ってよいのではないでしょうか。もちろん農業ができる場所もありますが、その場所は限られています。

 アフガニスタンには鉄道がありませんから移動はバスに頼るしかありません。私も何回か首都カブールからバスに乗って地方都市に行きましたが、窓の外に見えるのは草も碌にない赤茶けた土地ばかりでした。バスがなかったころはラクダを連れた隊商がオアシスのある町から町へと荷物を運ぶ旅をしていたのでありましょう。

 今ではもう時代的に隊商(キャラバン)はなくなっているのでしょうが、私はそのアフガニスタンの旅で一度だけ小さなキャラバンに出会ったことがあります。マザリシャリフ近くの小さな村にあるモスクを見に行った帰り、夕日に向かって歩む数頭のラクダを連れた隊商がいたのです。丘の道を黒いシルエットになって去って行くラクダを私は茫然と見送りました。

     征絲綢之路隊商    シルクロードのキャラバンは

     憩砂漠中緑水場    砂漠の中のオアシスに憩う

     人生相似熱砂旅    人生もまさにそれだね

     苦楽存観音妙光    苦楽は観音さまの中にあり

 思えば私たちの人生の旅はまさにキャラバンではないでしょうか。キャラバンを一家とすれば、その一家が夏は暑く冬は寒い砂漠を一歩一歩オアシスを目指して歩み、そのオアシスでしばしの憩いを取った後、また次のオアシスを目指して旅を続けていく。私たちの人生はオアシスからオアシスへの旅そのものではないでしょうか。


 私が皆さんのお話を聴いていて思うのは、何の悩みも苦しみもないという人はいないということです。生老病死。生きていくこと自体が大きな悩み苦しみと言えます。しかし、その悩み苦しみの中にも必ずオアシス、憩いの場があります。それを信じて毎日を一生懸命頑張る、それが人生だと思えてなりません。


皆さま今年も星祭り有難うございます。

どうぞまたこの一年お元気にお過ごし下さいますよう

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