アムリタ
甘露法雨灌沛然 お釈迦様のお生まれを
天龍祝釈尊口宣 甘露で祝う天の神
以来二千六百年 天上天下のみ教えに
如在慇懃嫡々禅 いますが如く只坐禅
今日は花祭り。お釈迦様の誕生日です。この花祭りには釈尊のお誕生仏に甘茶を灌ぐことが習わしですが、これは上の法語にも述べたようにお釈迦様のご誕生の時龍神が甘露を降らし神々が香湯で灌沐したという伝承に寄っています。甘露は原語をアムリタと言い、「不死・天酒」の意味だそうです。甘露はご誕生のお祝いであり瑞祥であったのですね。
ご存知のように、インドは熱帯の国ですから季節は雨季と乾季の二季しかありません。日本のような四季の味わいはないのです。お釈迦様のお生まれになった四月は乾季の真っただ中ですから甘露が降り注いだとなればまさに奇跡でありましょう。余談ですが、インドの乾季は日本の冬に似ています。乾燥と熱気のために植物は葉を落としてしまうのです。
ところで、このアムリタは飲めば苦悩を去り長寿を得られるということから転じて仏の教え、仏の悟りに喩えられるようになりました。私たちが施食会で読む「甘露門」というお経がありますが、これはまさに悟りの境界へ導く門という意味なのです。考えれば、私たちがこの花祭りでお釈迦様の誕生仏に甘茶を灌ぐということは私たち自身が悟りに至る門をくぐるということではないでしょうか。
とは言っても、悟りの道は容易に到達できる道ではありません。長く険しい道です。一歩一歩、毎日毎日、毎年毎年の弛まぬ精進を必要とする道です。法語に書きましたように坐禅もただ精進のみです。花祭りに思いを新たに励みたいと思います。
如来は法を説く者なり
汝等はただ努めよ
~法句経「道行」~
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