春の小川
春の小川は さらさらいくよ
岸のすみれや れんげの花に
姿やさしく 色うつくしく
咲けよ咲けよと ささやきながら
先日、葬儀に随喜することがありました。この観音寺はお檀家さんがないため私が葬儀をすることは滅多にありませんが時に伴僧として随喜することがあるのです。その折、導師の引導に先立って伴僧は「一転語」を述べるのが習わしになっています。「一転語」とは執着や迷いを一挙に解き放って心を転換させる言葉を言うのです。
実は上の「春の小川」はその一転語に引用したのです。この「春の小川」はあの「朧月夜」を作詞・作曲した高野辰之・岡野貞一さんコンビが大正元年に尋常小学唱歌として発表しているのですが、敢えてこの歌を引用したのは享年92という故人が恐らく少女時代この歌を愛唱されたに違いないと思ってのことでした。
同時に、私はこの歌詞が私たちの人生を象徴しているように思ったのです。春の小川がさらさらとよどみなく流れていくように人間の一生は一時の停滞もなく過ぎていきます。過ぎていく時の流れの中で私たちは時に喜び時に悲しみ笑ったり泣いたりしています。そして小川のせせらぎが岸のすみれやれんげに語りかけるように私たちも互いに励まし励まされて生きています。私はそれが人生と思うのです。
私たちの人生は多くの人の縁とお蔭に寄っています。この度の大震災には世界中の人々から「私たちも一緒」という励ましの言葉を貰いました。どうぞ皆さん、互いに励ましあって歩み、この震災の苦難を乗り越えましょう。
網の目が互いにつながりあっているように、
すべてのものは、つながりあって出来ている
~仏教聖典~
0 件のコメント:
コメントを投稿