住職ネコちゃん遷化 №79

平成23年4月10日

住職ネコちゃん遷化

人は仏心の中に生まれ 仏心の中に生き
仏心の中に息をひきとる  朝比奈宗源

 悲しいお知らせになりました。当観音寺の住職ネコちゃんが亡くなりました。その日四月四日、ネコちゃんはいつものように本堂前の庭を散歩したり咲き始めた(はな)蘇芳(ずおう)の根元に寝そべったりして春の日を満喫していました。ゆったりとくつろいでいたのです。絵になるその姿は今も私の目に残っています。


 夕刻、いつもより早くお気に入りの段ボールベッドに入りましたが、この時も何ら変わりなく私は気持ちよく眠っているとばかり思っていました。ところが、夜遅く家人が気がついた時はすでに亡くなっていたのです。深夜、ネコちゃんの死を知らされて、私は愕然となりました。眠っているような安らかな顔になぜ、どうして、と思うばかりでした。

ネコちゃんは平成七年の生まれですから世寿十六歳、人間に直せば九十五歳になります。天寿と言えば天寿といえますが、まだまだ元気でいてくれると思っていただけにあまりにあっけない死に今なおどうして、という思いを拭いきれません。きっとこれには何か意味があるのだろうと思います。

思えばネコちゃんはその生涯この観音寺住職ネコちゃんとして本当に立派な働きをしてくれました。お参りの方一人ひとりに挨拶を欠かさず皆さまに親しんで頂きました。それはこのネコちゃんの大きな徳であったと思います。そして、私にとっては朝の坐禅を怠らないための目覚まし係。大切な修行仲間でもありました。感謝してなお余りあります。 
 
  寺は住職ネコちゃんという大きな存在を失ないました。寂しい限りです。でも、ネコちゃんも魂の世界で修行を積むのでしょう。生死は一如です。この「たより」は今まで通り住職ネコちゃんの生前の姿と力を頂いて続けようと思います。皆さま住職ネコちゃんのためにどうぞ冥福をお祈り下さい。生前のご厚誼に深く御礼申し上げます。
 



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