じわじわくるもの №404

じわじわくるもの
平成28年11月1日



 
 先達て、と言っても9月末のことですが、精神科医の海原純子さんが「じわじわくるもの」と題する一文を毎日新聞に寄せられていました(H28.9.25)。おっしゃるには海原さん、この夏は毎日数枚のブラウスしか着ていなかったことに気づき、年々暑くなっていることを改めて思って「こわいのは気がつきにくいじわじわの変化」と言われるのです。

 確かに暑さばかりでなく、台風や集中豪雨のような気象変化はみな同じです。今年もあちこちで雨の被害が起きましたが、ここ数年毎年のようになってくると「またか」と思うだけになりがちです。集中豪雨も3,40年前は今ほどではなかったはずですが、毎年繰り返されるうちにそれを大変と思わなくなってしまうのが私たちなのでありましょう。

 じわじわのこわさ。本当は深刻な状況なのに、その深刻さを思わなくなってしまうことに海原さんは、ご自分の診療現場のことも言われています。海原さんがいま「危ない」と感じていることは、以前は滅多に聞かなかった職場のハラスメント相談が多くなり、それも複数対一人で一人を孤立に追い込むようなものが増えているというのです。

 これは学校のいじめと全く同じではないでしょうか。学校のいじめも以前は命に関わるような深刻なものは少なかったはずですが、いまは複数が一人を死に追い込むようないじめが多くなりました。恐らくいま職場でもそれと同じような卑怯で陰湿ないじめが増えているということなのでありましょう。悲しいことです。

 海原さんはこのような状況に対して「さまざまなことがじわじわ変化している。まあいいか、と見て見ぬふりをして気づこうとしない落とし穴にはまらないよう、現実を直視する必要がある」と言われていますが、誠にその通りと思います。見て見ぬふりで気づこうとしないのは結局自分がその落とし穴にはまることなのです。

 私は日本ではいま“平和”がこの状況にあると思います。安保法が施行され自衛隊の任務に“戦闘”が加えられようとしているのに、これを見ぬふりしていればやがて確実に日本は平和国家ではなくなり孫子が戦争の加害者被害者になるのです。現実を直視し真の平和とは何かを一人ひとりが考えなければなりません。

  また言うよ。
     「平和をあなたにもたらすことができるのは、
     あなただけだ」 
              ~エマソン~


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