切ない事件二つ №648

 切ない事件二つ

 令和3年9月15日

 この一ヵ月あまり幼い子二人の切ない死が頭から離れません。一つは17歳の兄の暴行を受けて亡くなった6歳の女の子。もう一つは保育園の通園バスに取り残されて熱中症で亡くなった5歳の男の子。その二人の子どものあまりに切なくむごい死に言い知れぬ悲しみを覚えてなりません。どうかどうかと冥福を祈るばかりです。

　最初の事件は滋賀県大津市で起きました。8月1日朝、17歳の兄が「妹がジャングルジムから落ちた」と近所の家に駆け込みましたが、病院で死亡が確認された6歳の妹の全身に皮下出血があったばかりか肋骨も折れていたことから兄に問い質した結果、その兄が妹に暴行を加えて死なせ、それを隠そうとしてジャングルジムから落ちたように見せかけたというのです。

　兄と妹は母親との3人暮らしだったと言いますが、母親は子供二人を育児放棄していたらしく事件の起きる前には兄妹が市内のコンビニを訪れ、妹が見知らぬ客に千円貸してと懇願して通報されることがあったと言います。恐らく兄妹二人食べるものもなく空腹に耐えかねてのことだったのでしょう。切なさが胸に沁みます。

　もう一つの事件は福岡県中間市の保育園で起きました。7月29日朝、いつものように送迎バスで登園した5歳の男の子がバスに置き去りにされ夕方発見されるまで9時間バスに閉じ込められて熱中症で死んだというのです。当日バスを運転した園長は子どもの下車を確認せず、担任も子どもがいない理由を調べなかったというのです。

　上の二つの事件は日本の社会の暗部や欠落点を象徴的に示しているように思えてなりません。いまの日本社会は決してよい社会ではありません。その中には貧困に苦しむ人が沢山いるということ。それも周りの人には見えにくい貧困であること。恐らく妹を殺してしまった兄は妹を貧困のストレスのはけ口にしてしまったのではないでしょうか。

この一ヵ月あまり幼い子二人の切ない死が頭から離れません。一つは17歳の兄の暴行を受けて亡くなった6歳の女の子。もう一つは保育園の通園バスに取り残されて熱中症で亡くなった5歳の男の子。その二人の子どものあまりに切なくむごい死に言い知れぬ悲しみを覚えてなりません。どうかどうかと冥福を祈るばかりです。

　最初の事件は滋賀県大津市で起きました。8月1日朝、17歳の兄が「妹がジャングルジムから落ちた」と近所の家に駆け込みましたが、病院で死亡が確認された6歳の妹の全身に皮下出血があったばかりか肋骨も折れていたことから兄に問い質した結果、その兄が妹に暴行を加えて死なせ、それを隠そうとしてジャングルジムから落ちたように見せかけたというのです。

　兄と妹は母親との3人暮らしだったと言いますが、母親は子供二人を育児放棄していたらしく事件の起きる前には兄妹が市内のコンビニを訪れ、妹が見知らぬ客に千円貸してと懇願して通報されることがあったと言います。恐らく兄妹二人食べるものもなく空腹に耐えかねてのことだったのでしょう。切なさが胸に沁みます。

　もう一つの事件は福岡県中間市の保育園で起きました。7月29日朝、いつものように送迎バスで登園した5歳の男の子がバスに置き去りにされ夕方発見されるまで9時間バスに閉じ込められて熱中症で死んだというのです。当日バスを運転した園長は子どもの下車を確認せず、担任も子どもがいない理由を調べなかったというのです。

　上の二つの事件は日本の社会の暗部や欠落点を象徴的に示しているように思えてなりません。いまの日本社会は決してよい社会ではありません。その中には貧困に苦しむ人が沢山いるということ。それも周りの人には見えにくい貧困であること。恐らく妹を殺してしまった兄は妹を貧困のストレスのはけ口にしてしまったのではないでしょうか。

　保育園バスの中で園児が熱中症で死んでしまった事件はそれぞれの任務に携わる人間が仕事の責任を果たしていなかったことが原因です。以前、日本はプロ意識を持った仕事人がいなくなっているのではないかと申し上げましたが今回の保育園はその典型でありましょう。幼くして亡くなった二人の冥福を祈って止みません。

 

人はお墓へ　はいります。

暗いさみしいあの墓へ。

そしていい子は　翅が生え、

天使になって　飛べるのよ。

　　　　＜金子みすゞ＞