命長ければ辱(はじ)多し №651

 命長ければ(はじ)多し

 令和3年9月28日

 今年も「敬老の日」に因んで厚生労働省から全国の100歳以上の高齢者が発表になりました。それによると、その数は過去最多の86510人。昨年から6060人増えて51年連続の増加とのことです。この調査が始まった1963年には100歳以上の人数は153人だったそうですからこの58年のうちに565倍にもなったということになります。

 長寿者を男女別にみるとやはり女性が88%以上と圧倒的に多くて、最高齢は福岡市お住い。明治36年生まれの田中()()さん118歳。田中さんは存命中の世界最高齢だそうです。同じく男性は明治43年生まれの上田幹蔵さん111歳。いやすごい、ご両人ご立派です。ここまでくると敬服しかありません。

 当然のことながら日本人の平均寿命も伸びていて昨年の平均寿命は女性が8774歳、男性が8164歳と言います。この平均寿命もともに過去最高を更新しています。伸び続ける平均寿命。そして増え続ける100歳高齢者。これは平和のお蔭でしょうからまずは目出度いと申し上げるべきでありましょう。嬉しいことには違いありません。

 でもその反面はどうか。このたよりでは毎年のように長寿イコール幸せではないと申し上げてきました。いまの日本社会は長寿に関する自助共助公助どの面においても問題なしとはいきません。自助には格差の拡大が、共助には地域共同体の衰亡が影を落としていますし、公助について言えば施策の一層の充実が求められていると思います。。

 人生100年時代と言われる今、いわゆる老後を皆さまはどうお考えでしょうか。嬉しい話でなくて恐縮ですが、表題の「命長ければ恥多し」という言葉があります。これは中国の「荘子」にある言葉だそうですが、その意味は文字通り「長生きすれば何かと恥をさらすことが多い」です。原文は「寿(いのちなが)ければ」となっていますから長寿の半面の言葉でありましょう。

 私は最近つくづくこの言葉を思うのです。兼好法師が「徒然草」で「住み果てぬ世にみにくき姿を待ちえて何かはせん。命長ければ恥多し」と言っていることに同感するばかり。心身の老化が増す一方の残された日々をどうしたら意識的に過ごすことができるか。これが人生100年時代の課題になったと思います。

 毎日が 日曜日では いけません

 平日つくる 努力が大事

 

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