ピースポールのこと №154

平成24年8月17日

ピースポールのこと



 私のささやかな精神遍歴に有難い三人の人があります。一人はドイツの思想家、ルドルフ・シュタイナー。一人は自らを「和尚」と名乗ったインドの覚者、バグワン・シュリ・ラジニーシ。そしてもう一人が平和の祈りの五井昌久さんです。 私はこの三人の思想をその著作を通してしか知りませんが、今に至る大きな教えを受けたと思っています。

 この度、この観音寺境内に建立の運びとなったピースポールは、上に申し上げた五井昌久さんが提唱された世界平和の祈りによるものです。皆さんもあちこちで「世界人類が平和でありますように」と書かれたステッカーやポールをご覧になったことがあると思いますが、その標語こそ五井さんが提唱された世界平和の祈りなのです。

 三十代初め、私はその言葉を知る以前にシュタイナーや和尚によって祈りや瞑想の大切さを学んでいましたから、五井さんの提唱には深く共鳴するところがありました。 戦後世代の私は実際の戦争は知りません。しかし、その戦争の悲惨な体験を身近に聞いて育った一人として平和の大切さ、貴さを痛切に思わない訳にはいきません。

 戦後六十七年、日本が平和を享受し得たのは、何百万にも及ぶ戦争犠牲者と戦争の悲惨を味わった人々の平和への強い願いと祈りによるのです。しかし、世界に目を転じればまだ平和とはほど遠い生活を強いられている国が少なくありません。 そして、そこでは今なお多くの子供たちがその犠牲となって命を落としていることを思うと胸の痛みを覚えてなりません。

 私たちは日本一国だけの平和でよしとしてはなりません。 仏教の悲願は世界の国々が平和になること、子どもたちやお年寄りが安心に暮らすことのできる社会の実現です。世界が平和になるように祈ることの大切さがここにあります。いまだからこそ、多くの人が心を同じくして平和を祈ることが必要なのです。

 この度のピースポール建立はその願いの象徴です。共に平和を祈る者が心を一にして世界平和の祈りを続けましょう。宇宙船地球号を青く澄んだ平和な星にするために。子どもたちの明るい未来を信じて。

「冀(こいねが)うところは国土安穏、万邦和楽…(心から願うことはこの国の安寧、世界の平和…)」
~曹洞宗朝課・仏殿諷経回向~

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