再び「原発事故十年」 №629

 再び「原発事故十年」

 令和3年5月1日

 413日、政府は原発事故の汚染水を海に放出することを決めました。全魚連の岸会長と菅首相が7日に会談してから僅か1週間後です。漁業関係者は一貫して海洋放出に反対しており7日の会談でも岸会長は明確に海洋放出に反対したにもかかわらずです。漁業関係者ならずとも納得できることではありません。

 政府は意図的に汚染水という言葉を避け、処理水と言う言い方で海洋放出に問題がないと言います。汚染水で一番懸念されているトリチウムについては国の放出基準の40分の1未満に薄めることによりその放出量は福井県の高浜原発など同じ型の原発や海外の原発に比べても多い方ではないと言います。

 放出汚染水の安全性を強調したい余りに麻生財務相は放出水は飲んでも大丈夫と言って中国の高官から「それは飲んでから言って頂きたい」と逆襲されましたがそれも当然でありましょう。飲んでも大丈夫と言っている当人がそれを実証しなければ信用できないのは無論です。政府が言う安全性にはやはり疑念が残るのです。

 政府が言うように汚染水を海に放出しても安全ならばどうしてこれまでそれをしなかったのかと誰しも疑問に思うでありましょう。その答えは明らかです。それはトリチウム以外の放射性物質の濃度も現在なお国の基準を超えているというのが事実だからです。それで海への放出が安全だとどうして言えるのでしょうか。

 この問題に関連して原発関係者に質したいことがあります。それは汚染水一つの事故処理も出来ていないのに原発の再稼働や新設がどうして考えられるのかということです。ウソだった安全神話。一たび事故になれば莫大な金額どころかこの汚染水のように処理方法が分からないものまで出てくることをどう思っているのでしょうか。。

 汚染水放出を論じた放送タレントの松尾貴史さんが「これは日本の問題ではなく、地球人として抗議しなければならない」(4/18毎日新聞)と言っていますが、全くその通りだと思います。地球環境を破壊し地球上の生物に危害をもたらす恐れのある汚染水の海洋放出を政府の言いなりに認めることは許されません。


汚染水の垂れ流しが水俣病をつくった。

その悲劇を忘れてはならない。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿