旧暦を見直す №94

平成23年6月15日

旧暦を見直す


(アプレフクシマ⑤)
 表題をご覧になると、これがアプレフクシマとどういう関係があるのかとお思いになることでしょうね。そう、確かに直接関係はありません。それなのに敢えて取り上げるのはこの旧暦の意識こそ①で申し上げた畏敬の念を深める近道と思うからです。

 私たちの日常は新暦、即ち太陽暦によっています。太陽暦は文字通り地球が太陽の周囲を一公転する時間を一年とする暦です。これに対する太陰暦は(さく)望月(ぼうげつ)とも言うように月が朔(新月)から次の朔に、あるいは望(満月)から次の望に至るまでの時間、平均2912時間を一月とする暦です。この太陽歴と太陰暦を折衷した暦が俗に旧暦と言われる暦なのです。


 私たちは普段太陽暦で暮らしていて何の不自由も感じないと思いますが、歴史の世界を考えると季節感にずれを生じることもあるのです。いい例があの忠臣蔵です。赤穂浪士の討ち入りは元禄15 12 14日となっていますから、義士祭は今では暮の行事のように思われていますが、勿論その日は太陰暦ですから新暦に直せば一ヶ月半も後の130日になるのです。討ち入りの日が雪であったことも頷けるというものです。
 
 勿論、旧暦ならすべて季節感が合うということではなく新暦の方がよい場合もあります。ですから全てを旧暦に直すのではなく七草や七夕のように旧暦の方が季節感をより一層味わえるものは旧暦で楽しむのがよいのではないでしょうか。季節感を味わうことが自然への関心と畏敬を深める早道と思うのです。季節の移ろいの中で花鳥風月を楽しむことによって自然の不思議と有難さを実感できるに違いありません。その時にもう一つ併せて意識して頂きたいのは二十四節季です。むしろこちらの方が季節を感じるのは便利かもしれません。二十四節季では今は芒種(ぼうしゅ)(田植えの頃)ですが、あと少しで夏至、いよいよ本格的な暑さに向かうことになりますね。この二十四節季は実に季節に合っているのです。ぜひその成程を実感して下さい。
 
      夏至の日の手足明るく目覚めけり
     ~(岡本眸)~
      若狭路の仏を恋へば半夏雨
                ~(角川春樹)~
 

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